音楽劇近況報告
2001/12/04

 不思議な音楽が沢山舞い降りてきています。
 人間の歴史の記録アーラトから出てきた「文字」たちも、もじもじしたりしながら踊り出しています。
 アーラトの島の住人達も、アーラトの壁を守りながら、月夜をたたえて踊ったり歌ったり。

 本当の勇気をもった少年カイをうたった、「海の王子 カイ」はお気に入りの曲ができました。

 12月。始めて流れをみる時期がやってきました、各々のソロの曲を煮詰めるまえに、細かい音楽稽古の時間をとりました。8年の歳月の流れ、皆さんの声の中に確実な変化が見え始めてきたこのごろです。
   「音楽劇」その形式は、音楽とお芝居で綴るもの。今回の作品からすこしずつ音楽の方向を転換しています。子供の頃からみている子たち、きちんとクラシカルな発声が出始めた子供達が増え始めました。声帯は80歳まで成長し続ける、これはモモの理論ですが、それをまさしく実証してくれるがごとく、大人の人たちも高いドまで楽々と声がでます。
歌はスポーツ。筋肉を正しく使って声をだす。それには筋肉を鍛えなくてはいけません。その方法もあります。
 あとは、調性感覚です。風が歌うように波が囁くように、音楽はいろんな音を包含しています。気持を開いて感じれば難しい音楽はない。今回少し現代音楽的な領域にも踏み込んでみました。

 まえにも御紹介した、今回の主人公、松本少年の事を少し。。。

松本君 とにかく「大きい」うん!いろんな意味で。なんだか子供達の間では
 「人間離れしている」ともっぱらの評判。いやいや、これは冗談です。
 彼とであったのは、もう五年くらいまえでしょう。このホームページでも紹介した島根県民会館のミュージカル「愛と地球と競売人」のゴールデンウィークのワークショップでのことでした。ヴォ−カルレッスンをするために、リハーサルルームにいったとき、眼鏡をかけた、まんまい感じの男の子がいました。題材は「手のひらを太陽に」でした。
 「一人で歌ってくれるこ!!」っていうと「ハ〜〜イ」とまっ先に手をあげるのは彼でした。元気が良くて、気持がいいな。っておもったかな。
でも、体も大きな松本少年は本番近くなって声変わりになって、本番では、子供の声を必要とされる歌は断念したときいていました。

 あるビリオネアの中高生のレッスンのとき、2人の女の子といっしょに彼はやってきました。バレエの基礎訓練から体験入学をしていました。質問をするとハキハキとこたえ、今どき珍しい(中学生の男の子はこういうこと恥ずかしがるのに)中学生だなとおもっていました。
 帰り際に「モモ先生、僕のこと覚えてますか。松本です。愛と地球と競売人にでていた」というではありませんか!「あああ!!あの松本君、大きくなったねええ」とおもわず。大きくなりすぎですよ、体重三桁だもの。。
 そんなことから始まり、発声、バレエの基礎、ソルフェージュの基礎。彼に携わってきました。
 ビリオネアの子供達に「声楽の存在」をつたえ初めて、音大の声楽に3人はったり、コンクールでもすこしずつ成果を発表しているこのごろです。
 松本君のコンクールうけてみようか?ということで、準備をはじめました。といっても、まだ基礎も基礎。立ち方は。呼吸は、姿勢は。。。だめだめ!と言う感じで進んでいたときです、まあ、声楽の第一歩と言えば イタリア歌曲の「カロミオベン」Rは舌をまいて、母音で伸ばして。というわけで、中学校の実技コンクールに挑戦です。
 ビリオネアから小学生2人、中学生はほぼ10人程うけました。島根県を大きく2つに分けてコンクールがおこなわれます。
 松本少年は、つめえりすがたでカロミオベンをうたいます。とにかくイタリア歌曲はこれしか歌えないんだから。でもそのことはだまっていようね。と約束してあります。
 歌い終わると、会場をためいきが包んだようなきがしました。なんだかすごくのびのびうたってくれました。
 結果は金賞、そして県大会出場の範囲にはいりました。
 うううむむ。。

松本君それから、ほぼ一ヶ月後県大会が松江でおこなわれました。私は月に一度まとめてレッスンをする形です、ひさしぶりに松本君の歌をきいてみると、「縮こまっているではありませんか!」そうかあ、松本君のプレッシャーをかんじてるな。
急に現れて、素敵に歌を歌ったので回りがびっくり、そして、いろんな事を言われたようです。
 「でもね、松本君、きみはまだ本当に始めたばかりだから、歌う歓びだけもってにこにこ愛しいきみよってうたえばいいよ。結果がどうでもいいじゃないの。県大会にだられるだけでおもしろいよ!」って。だって一曲しかうたえないんですもの。それも大昔からまずこの歌から始める曲を。
 でもカロミオベンは何度聞いても歌ってもいい曲です。

  そして結果はどうだったと思いますか?松本少年は、大きな体を嬉しそうにのばしてニコニコと(彼の顔は写真通り少しエキゾチックです。どこかにいたぞこういうこ、、そうだバリ島。。これ内緒)うたってくれました。私は楽屋にすぐいってみました。なんとピョンピョン跳ねているではありませんか。よかったよ、、とつたえると、またピョウンピョン。どうやら、身軽なようです。
 私はレッスンがまっているので結果かきかないでかえりました、彼がニコニコ歌ってくれればそれでいいわけですから。
 暫くするとホールに電話がはいりました、どうやら県で三番だったようです。
 よかったね。

 そして彼も今は、商業高校の一年生、簿記の資格もとれるからって。私には到底わからないような問題集をといていました。
 体育さえなければ順位もいいそうです。バレエはできるのに、どうやら陸をはしるとつらいらしい。そのうち羽が生えるから大丈夫だよ!!ははは。

 エンシェント ラヴ。着々と主人公 カイになってきています。
彼のソロはまだできていません。もうすこしすると、歌が降りてきます。

 今朝メールが届きました、髪の毛がのびてきたのですが、切ってもいいでしょうか?としっかり、俳優さんですね。役作り。すばらしいことです。
 私の答えのメールです。
 カイの衣装は、頭に大工さんのようなはちまきをまくので、どんなに短くてもいいよ。あとはあなたに似合った髪ならオッケーー。

 とにかく風邪をひかないでがんばろうね。。


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